仏具の名称および用途
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仏具の名称および用途
お仏壇は、本来信仰のためのもので、自分の信仰している宗派のお寺の様式を、小さく再現したものです。 お仏壇の中に祀る本尊・脇仏や、飾る仏具も、宗派で異なり、ご自身の宗派に従った仏具を揃えます。
また、浄土真宗では、浄土真宗本願寺派(通称 本願寺、お西)、真宗大谷派(通称 東本願寺 お東)、真宗高田派、真宗佛光寺派など真宗十派に分かれ、曹洞宗でも本山が永平寺と総持寺に、臨済宗では本山が妙心寺、南禅寺、建長寺、円覚寺に分かれています。
自分の菩提寺がどの本山(派)に属するかで仏具も変わってきますので、菩提寺様や仏壇店にお聞きなられると良いでしょう。
仏具の名称
仏壇の上段の中央に、ご自身の宗派のご本尊(仏像もしくは掛軸)を安置し、その両脇に掛軸を安置します。 宗派については、『仏教の主な宗派』を参照して下さい。
白木の位牌はもともと「野辺位牌」と言います。
野辺送りとは、遺骸を埋葬地または火葬場まで運び送ることを指し、野辺送りに用いる告別式用の仮の位牌です。
白木の位牌は、忌明けの四十九日の法要が済みましたらお寺様に納めたり、お骨と一緒にお墓に納骨したりする場合がありますので、四十九日法要までには正式な位牌をご用意して、お仏壇にお祀りします。
位牌は黒塗りや唐木で出来た板位牌と、中に数枚の薄板を収めた回出位牌(くりだしいはい)があります。
どちらも表側に法名(戒名)、裏面に俗名、没日、行年などを彫ったり、書いたりします。
板位牌は一人用ないしは二人用で、夫婦用に一緒に彫られることもあり、二人彫り、もしくは夫婦(めおと)位牌といいます。
その場合、先に亡くなられた方を片側に寄せて彫り、その後、連れが亡くなられた時、空いた箇所に彫ります。
回出位牌は代々ご先祖が多い場合に使用します。
浄土真宗では、「お位牌に魂が宿り、それを供養していく」という教えはありません。
浄土真宗各派では、お位牌は用いず、過去帳に累代のご先祖の法名を記入して、命日ごとに開帳します。
見台(けんだい)と言う台に乗せ、位牌と同様、本尊より下の段に置きます。
過去帳には日付が入ったものがあり、朝夕の夕方のお勤めの際、日めくりのように、ページをめくることで、明日は誰々の祥月命日だと確認できます。
日付の欄に、亡くなられた日付ごとに記載していきます。日付の無い物は、亡くなられた古い順に記載します。
真宗以外でも、位牌や回出位牌が増えて、仏壇の中に納まりきれない場合、過去帳に書き換えて家の記録として保管することもあります
仏像・位牌を明るく照らすために、仏壇の天井から吊り下げる照明で、丸やナツメの様な形があります。
浄土真宗でもこの灯籠を使いますが、正式には、火袋が六角形の形をした六角組み灯籠を使います。
浄土真宗本願寺派では足が丸まった猫足を、真宗大谷派はピンと伸びた丁足の灯籠を使います。
浄土真宗本願寺派(お西)のお寺や、西用の仏壇で本尊が安置してあるところ(空殿)の屋根に吊す装飾の仏具です。
仏様が悟りを開かれたときに舞ったという蓮の花を表現したとされ、何段か垂れ下がった飾りを瓔珞と言い、蓮の形の笠から垂れ下がっているので蓮傘珱珞(れんがさようらく)とも言います。
阿弥陀様を安置する空殿に取り付けます。
浄土真宗大谷(東本願寺)派では、輪灯の上に取り付けて使う輪灯瓔珞を用います。
浄土真宗以外のお寺の本堂で、本尊の周りに天井から金色の筒の周り装飾(瓔珞)が垂れ下がった装飾があります。
仏様や菩薩のしるしとして仏堂の装飾とする布を「幢(どう)」、寺院の境内や堂内に立てる飾り布を「幡(ばん)」、それをあわせて幢幡(どうばん)といい、仏様がここにいらっしゃいますよ。と居場所を表す為のものです。
寺院の金襴の布で出来た平たいものは和幡(わばた)と言います。
よく、在家のお仏壇の中に、真宗用の隅瓔珞を下げている場合がありますが、真宗以外は幢幡が正式です。
仏様に御供えするご飯を乗せる器のことです。
仏様は実際にご飯を食べるわけでなく、ご飯の湯気を頂かれるので、朝、礼拝が済んだら直ちに下げて構いません。
仏様への感謝と敬いの心から、その仏様のお供えのお下がりを私たちが頂く訳です。
いつまでもお供えしたままで、線香の臭いが移りやホコリがして、不衛生だからと捨て祖末にするのは罪深いことです。
最近では、夜にしかご飯を炊かなかったり、朝はパン食の方もおられます。仏様にパンをお供えするのは相応しくありませんので、その場合、前日のご飯を少し残しておいて、電子レンジなどで湯気が出る程度少し温め、自分達が朝食を摂る前の朝のお勤めの時にお供えして下さい。臨機応変に考えればよろしいかと思います。
仏様にお供えをするお茶、または水を入れる蓋付きの器で、お供えする時は蓋を外します。
ただし、浄土真宗ではお水は供えません。理由は、お仏壇とは亡くなった方を安置する場所ではないので、故人がお茶や水を飲むという考え方がないからです。
極楽浄土には「八功徳水」(はっくどくすい)という有り難い水がふんだんにあり、のどが渇くことがないと考えられています。
その代わり、極楽に流れる清らかな水(八功徳水)の象徴として、水を入れた華鋲(けびょう)に、しきみ(樒、櫁)を挿して飾ります。
華瓶がなければ供えなくても結構です。
お菓子や果物を乗せて、お仏壇にお供えする脚がついた器のことです。
一対で飾ります。
浄土真宗では、餅 ・菓子などの供え物を盛る器に、上部が金色の花びらのような形の器を用い、その器を華足(けそく)、または供笥(供花 くげ)といいます。
浄土真宗以外では用いません。
蓮は泥から出て、泥にけがされることなく清らかな花を咲かせます。迷いの世界に住みながらも、清くたくましく生きる姿に例えます。 常に枯れず最高の蓮花という意味で、金色の蓮花を仏前に供えます。
常花は造花の代用ではないので、別に生花も花立てに供えます。 ※浄土真宗以外の宗派は中段の外側に一対飾ります。
霊具膳は浄土真宗以外の宗派で用いる、仏様、ご先祖様に一汁三蔡の献立をお供えする飲食供養具です。初七日から四十九日、百カ日、祥月命日、法事、春秋のお彼岸などには霊供膳をお供えします。 お仏壇を新しくし、開眼法養を行う際も霊供膳をお供えします。
正式には、仏様(本尊と脇仏)とご先祖様のそれぞれに1つずつお供えしますが、1つの霊具膳で兼用する場合もあります。
仏壇に運ぶまでは、ホコリが入らないように蓋をしますが、お供えする時は蓋を外します。
仏様とご先祖様にお供えするものなので、箸は手前ではなく、向こう正面側に置きます。
お仏壇に荘厳する中でも、最も基本的な仏具を合わせた総称です。荘厳とは、仏教用語で仏像や仏堂を美しくおごそかに飾ることを言います。
それぞれの仏具は香供養、花供養、灯供養のために使われる大切な仏具で、香、灯明、お花を供えます。
具体的には、お香(抹香)を焚く蓋付き香炉にロウソク立てと花立てを一対ずつ祀る形式を「五具足」と呼び、正式な荘厳は「五具足」です。
蓋付き香炉、ロウソク立て、花立てともに一つずつ祀る形式を「三具足」といい、日頃は「三具足」で荘厳するところが多いです。
具足は宗派により形が異なり、お仏壇の大きさにより「三具足」のみ揃える場合もあります。
花の種類は何でも構いませんが、菊を中心として、香りがキツ過ぎないもの、花びらがバラバラと落ちない花が良いでしょう。
また刺のあるものは避けたほうが良いです。
なお、浄土真宗では、「三具足」または「五具足」を前卓の上に飾り、仏壇の中段に配するのが正式ですが、前卓を使わず、仏壇の下段に直接飾る地域もあります。
これとは別に、一対の華鋲(けびょう)、火舎(かしゃ)、ロウソク立ての4点「四具足」を本尊の前に配置するのが正式とされています
「お供え」や「けがれを清める」ため線香を焚く机上香炉は、経机の上に置き、具足とセットの香炉を使う場合が大半ですが、浄土真宗本願寺派(お西)は、青磁の土香炉を、浄土真宗大谷派(お東)は、青磁の透かし香炉を使うのが正式です。
線香は立てて焚きますが、浄土真宗では線香を2つに折って寝かして焚きます。
普段は線香を焚きますが、法事などお寺様が来られる時は、お寺様が来られる前に火種の炭に火をつけ、香炉に入れて準備しお迎えします。法事の際はお香(抹香)を用意しましょう。
経机は経本を読む際に使用する机です。日頃のお勤めで線香を焚く机上香炉(前香炉)をのせます。
それ以外に、ロウソク消し、線香立、マッチ消などの仏具を置く台としても使用します。
おりんを経机の上に置かれている方がおられますが、経本を広げて読むための机ですので、お寺様が来られるときは、経本を広げて読みやすいように、おりんは下に置き、机には必要最小限のものだけ置くようにしましょう。
炎を口で吹き消すのは、仏様に失礼なこと。また手(仏扇)で払って炎を消すのは、仏様に手を上げることになります。
また、手で払うと溶けた蝋が飛び散りますので、上から被せて消すローソク消しをお薦めします。
「お錀」や「りん」とも言い、お勤め(読経など)をするときに使う道具です。
おりんは経机の右側の畳の上に置きます。
おりんと布団を畳の上に置くと失礼だと思われるかもしれませんが、直接でなく、りん台の上に布団を乗せその上に置きますので失礼には当りません。
真宗大谷派では四角のりん台、西本願寺派では六角りん台が正式で、他は丸いりん台を使います。
おりんを鳴らすときは、上から叩くと響きが止まり、音色が良くないので、おりんの縁か横を、りん棒を下に向け、振る感じで叩くと良い音色がします。
読経をするときに打ち鳴らしてリズムを整える仏具です。浄土真宗や日蓮宗以外では、杢魚を使います。
日蓮宗では、木柾を使います。
お仏壇の中に飾る三角形、または四角形の金襴の布を打敷(うちしき)といいます。
本来打敷は、正式な仏事(お盆、お彼岸、ご法事などに)掛ける(使用する)飾りですので、普段は使わなくて構いません。
打敷の種類ですが、三角の打敷と、四角の打敷があります。
三角は浄土真宗本願寺(お西、お東など)のみ使い、四角は浄土真宗以外で使います。宗派によりカタチが異なるので注意しましょう。
※曹洞宗でも三角の打敷を使う地域もあります。
打敷には夏用と冬用があり、打敷も季節に応じて使い分けます。
夏用は紗や呂など涼しげな生地で出来ていて、お盆のみならず、梅雨入りした6月から9月までの祥月命日や、9月の秋のお彼岸ごろまでが使う目安です。
冬用は10月から翌年5月末までぐらいが目安でしょう。
※人の衣替えの時期を目安にすると判りやすいでしょう。
以上、同じ仏教でも各宗派により、仏具の飾り方や作法が異なるので、詳しくはご自身のお寺菩提寺に聞かれるか、宗派HPをご覧になられると良いでしょう。
その他 : 盆提灯
盆提灯は正式な仏具ではありませんが、説明を加えておきます。 お盆といえば、一般には先祖の霊が帰ってくる日とされ、迎え火で迎え、送り火で故人の霊を送るのが風習となっています。
お盆になると、精霊棚を設け、盆提灯を飾り、精霊馬(ナスやキュウリを動物に見立てたもの)を用意する地域もあります。
「どうか迷わないでこの提灯を頼りに(目印に)帰ってきて下さい。」という意味で盆提灯を用意しますが、浄土真宗ではお盆だからといって、盆提灯を飾ったり、先祖の霊のために迎え火や送り火を焚いたりするようなことは一切致しません。
浄土真宗では、「南無阿弥陀仏(阿弥陀様に全てゆだねます)」と唱えることで、阿弥陀如来の他力本願で、誰も迷わず極楽浄土へ行けると説いているからです。
浄土真宗の教えでは、人は亡くなると、すぐに仏さまの導きにより浄土に往生し仏となると言う教えから、仏として既に往生しているので、仏となった方の魂が現世に残ったり、死んでから現世でさまよったり、霊として現れるという考えがありません。
ましてや盆の時期のみ霊魂が帰ってくるという考えが、浄土真宗の教えにそぐわないのです。
また、葬儀の際に「ご冥福を祈る」とお声を掛けますが、冥福とは「死後、迷わず幸福になれますように」と言う意味です。これも浄土真宗では、阿弥陀如来のお力で極楽浄土へ行けるため迷うはずがなく、ご冥福と言う言葉を嫌います。
しかし、(盆)提灯は、あくまでも燈明の一つという解釈であれば、盆提灯を準備し、灯して仏事を勤めても問題はないと言われるお寺さんもいらっしゃいます。
親戚が初盆(新盆)の家庭に盆の提灯を贈る習慣のある地方もあり、せっかくの親戚の思いは、有り難く受け止めても良いのではないでしょうか。
では、浄土真宗にとってお盆の意味は、お盆は亡くなられた方をご縁として無常を見つめ、私たちが真剣に仏法を聞かせていただく日、と捉えています。
その縁によって集まった人が、仏の教えにふれることができる場を持ててありがたい、というスタンスで法要を行います。
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